胃がんを防ぐ酵素が見つかったと発表されました

畠山昌則・東京大教授(感染腫瘍学)らの研究チームが、ピロリ菌が出すたんぱく質の発がん性を弱め、胃がんの発症を抑制する酵素を発見したと英科学誌ネイチャーの関連紙に発表しました。

詳細についてお話する前に、まずは胃がんとピロリ菌についておさらいしておきましょう。
国立研究開発法人「国立がん研究センター」によりますと、胃がんについて、以下のように説明しています。
「胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になって無秩序に増殖を繰り返すことで生じます。
胃がん検診などで見つけられる大きさになるまでには、何年もかかるといわれており、大きくなるにしたがってがん細胞は胃の壁の中に入り込み、外側にある漿膜(しょうまく)やさらにその外側まで侵食し、近くにある大腸や膵臓にも広がっていきます。」

日本ではがんの中で胃がんが最も多く、毎年5万人ほどの方が胃がんで亡くなっています。
もし、酵素の力で胃がんの発症率を下げることが出来るなら、多くの方の命を救うことに繋がります。

次に、ピロリ菌についてお話します。
大塚製薬さんのサイトを見ると、ピロリ菌について以下のように書かれています。
「正式名は”ヘリコバクター・ピロリ”。
ヘリコとは「らせん」とか「旋回」という意味で、バクターとはバクテリア(細菌)から来ています。
ピロリとは胃の出口(幽門)をさす「ピロルス」からきています。
ピロリ菌の最も大きな特徴は、酸素の存在する大気中では発育しないことで、酸素にさらされると徐々に死滅します。乾燥にも弱く、グラム陰性桿菌に分類されます。
大きさは0.5×2.5~4.0μmで、数本のべん毛を持ち、胃の中を移動します。」

ピロリ菌が胃がんの原因となってしまうのは、ピロリ菌が胃の細胞に取り付いた際に、針を差し込んで発がん性のあるたんぱく質を注入するからだと言われています。
このたんぱく質は、細胞を増殖させる酵素「SHP2」と結びつき、異常に活発にすることで、がんの発症を促すとのこと。

畠山教授のチームは今回、別の酵素「SHP1」が、ピロリ菌の放出したたんぱく質とSHP2の結合を妨げることを人の胃の細胞などを使った実験で解明し、ピロリ菌の放出したたんぱく質の発がん性が弱まることを確かめたそうです。
また、胃がん患者の約1割で、がん細胞がリンパ腫などの原因となる「エプスタイン・バールウイルス」にも感染していることに着目。
このウイルスに感染した細胞では、胃がん発症を抑制するSHP1が作られにくくなり、ピロリ菌たんぱく質の発がん性が、より高まることも突き止めた。
畠山教授は「細菌とウイルスが『連携』して人のがん発症を促す仕組みが初めて分かった」と話す。

この酵素SHP1をうまく活用する手段さえ開発することが出来れば、胃がんによる死亡者数を大きく減らせる可能性がありますね。
研究が進んで、少しでも早く実用化されることを期待しましょう。

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