様々な酵素:ラクターゼ

ラクターゼとは、ラクトース(乳糖)をグルコースとガラクトースに加水分解する酵素で、乳糖分解酵素ともいい、β‐ガラクトシダーゼの一種である。
人間の体内においては、小腸の腸絨毛(小腸上皮細胞)に多く存在し、牛乳中などに含まれる乳糖を加水分解して、ガラクトースやグルコースとして腸壁より吸収させるという働きを担っている。
一般に人を含む哺乳類では、5歳くらいまではこのラクターゼが活発に働くが、5歳を過ぎると活性が低下する。
また、日本人の70%~80%%の人はこのラクターゼの活性がもともと弱く、牛乳を飲むと乳糖がそのまま大腸に運ばれて、腹部の膨満感、腹鳴、腹痛、下痢などの症状がでてしまう。
このような症状は乳糖不耐症と呼ばれています。

そもそも、人が成長の過程においてラクターゼの活性を失ってしまうのはなぜなのだろうか?
一説には、子供を親離れさせ、次の子供を産めるようにするためのメカニズムだと言われています。
生まれたばかりの子供にとって母乳が唯一の栄養源なので、いつまでも母親から母乳をもらいたいという思考が働くが、母親からすると母乳で育てている間は月経が始まらず次の子供を作ることが出来ない。
この母子間で総じている利益相反を解消させるため、ある時期になると乳糖を分解できなくして、母乳を飲むと気分悪くなるようにして離乳を促すのです。
これはすべての哺乳類が有する基本メカニズムだということを考えると、乳糖不耐症というのは正常な生物としての機能であるといえるのかもしれないですね。

しかし、一方で成人になっても乳糖を分解できる人もいて、ヨーロッパでは70%以上が大人になってもラクターゼの活性を有しています。
これには、牧畜の始まりが大きく影響していると考えられています。
牧畜が始まり牛やヤギから乳を摂取するようになると、非常に栄養価の高い乳の安定確保ができる牛などの家畜化は一気に広がっていった。
特に牧畜民にとって乳を飲む事は生存のためにも重要であったに違いなく、ラクターゼの活性が持続するかどうかは死活問題です。
自然選択が働くと有利な遺伝子が残るため、長い歴史の中でラクターゼの活性が持続する人たちの遺伝子が広まり、ヨーロッパのように大多数の人がラクターゼの活性を有するようになったのでしょう。
農耕を主な食料源としたアジアでは、ラクターゼが持続する人が少ないのも当然といえますね。

現在では、あらかじめ乳糖が分解された牛乳も作られていますし、ヨーグルトやよく熟成されたチーズは乳糖不耐症の人でも食べられるものがあるので、乳製品がどうしても食べたい方は、これらのモノを利用するといいでしょう。

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