様々な酵素:トリプシン

トリプシン(trypsin)はエンドペプチダーゼ(非末端アミノ酸のペプチド結合を分解するタンパク質分解ペプチダーゼ)、セリンプロテアーゼ(触媒残基として求核攻撃を行うセリン残基をもつプロテアーゼ(タンパク質分解酵素))の一種である。
膵液に含まれる消化酵素の一種で、塩基性アミノ酸(リシン、アルギニン)のカルボキシ基側のペプチド結合を加水分解するほか、ポリペプチドをジペプチド(2個のアミノ酸が結合したもの)に分解します。

語源は、ギリシャ語の“tripsis(摩擦、粉砕)”に由来。

膵臓からトリプシノーゲンとして分泌され、エンテロキナーゼ(自家加水分解)によりαトリプシン及びβトリプシンとなる。
また、キモトリプシノーゲンを一部加水分解しキモトリプシンとするのに必要な酵素である。

一方で、糖尿病(2型)の治療にこのトリプシンを阻害する働きを持つ「トリプシンインヒビター」という物質が注目されています。
トリプシンインヒビターを2型糖尿病の治療や栄養療法で用いることはすでに10年ほど前からアメリカやイタリアでも研究されており、このトリプシンインヒビターという物質は天然素材にも含まれていて、中でも生の大豆には豊富に含まれているほか、ピーナッツなどにも含まれていることがわかっています。
トリプシンインヒビターは膵臓を肥大させる働きをもっているために以前は人間にとって良くない物質と考えられてきましたが、使い方と対象者を正しく見極めることによって、膵臓でインスリンを作り出すB細胞を増殖させインスリンの生産を高めることから、2型糖尿病やその予備軍の予防には有効であることがわかってきたそうです。

その見極めですが、まずたんぱく質を分解し体に必要なアミノ酸まで分解してくれるトリプシンの働きを阻害するわけですから、発達途上にある乳幼児から成長期にある13歳くらいまでと、神経の働きにかかわる症状を持っている方、特に痴呆症やアルツハイマーなどの症状が出ている方にはトリプシンの働きを阻害してしまうことは避けるべきです。
また、アスリートなど持久力を必要とする運動をするような場合にも同様ですし、妊婦さんも赤ちゃんの成長を妨げてしまうため同様に避けましょう。
さらに、インスリンの生産が高まるということは血糖値を下げることになりますから、低血糖症状の方で(反応性、無反応性)の症状がある場合には避けるべきでしょう。

ただ、トリプシンインヒビターもトリプシンと同様に熱に弱い酵素(50℃以上になると活性を失う)ですから、熱を加えて加工している豆腐、納豆、味噌ではトリプシンインヒビターの働きは失われてしまいますので、あまり過剰に気にしなくても大丈夫です。

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