完全なる消化のメカニズム

「体調不良の原因」で、悪しき食生活がいかに人を不健康に導くかということについて述べました。
このカテゴリでは「身体によい食事とはどんなものなのか」を解説したいと思います。
ただし、その前に「正しい消化のメカニズム」を、みなさんに理解していただきたいと思います。

最初でも簡単には触れましたが、「完全な消化」がなされるとはいったいどういうことなのか、もう一度ここで理解していただきたいのです。
「完全なる消化」と「消化不良」この明確な違いの中身を知ることで、知らず知らずのうちに体内でおこなわれている毎日の「消化作業」というものが、いかに大切な作業であるかがわかるはずです。

「消化」とは、食べ物のなかにある「炭水化物(デンプン)、タンパク質、脂肪」の三大栄養素を、各々、小腸で吸収できるくらいの分子レベルにまで小さくすることです(ミネラル、ビタミン、水などその他の栄養素もあります)。

食べ物に含まれる栄養素(タンパク質と炭水化物)はネックレス状に連なっています。
たとえば、アミノ酸、単糖を一粒の真珠とすると、タンパク質は100個以上もの真珠がつながった巨大なネックレスということになります。
ちなみに、炭水化物であるデンプンは11個以上の真珠がつながったものです。
このネックレスの糸をひとつひとつていねいに切り、真珠の粒に分けること、これが正しい消化作業です。

本物のネックレスを切り離すのであればハサミを使って糸を切りますが、消化の場合、ハサミにかわって糸切り作業を務めるのが酵素なのです。

一回の食事だけでも、炭水化物、タンパク質、脂肪などの巨大ネックレスが、大量に体内に入りこみます。
胃や腸では、これらの糸を切る作業が、無数の酵素によってひっきりなしにおこなわれています。
また、脂肪はネックレスではなく、イモ虫のような三つの脂肪酸が、フックのようにグリセロールにひっかかったような形になっており、それをはずすことが消化です。

たとえば、炭水化物では、単糖(ブドウ糖、果糖、ガラク卜ース)にまで分解されないと本当の消化とはいえません。
「ご飯はよく噛んで食べなさい」
幼いころ親からよくいわれた言葉ですが、これは本当に大切なことです。

よく噛むことにより、口のなかのα-アミラーゼという消化酵素の働きで、デンプンは二糖類(単糖であるブドウ糖が二つつながったもの)である麦芽糖にまで切り離されます。
この働きによって、胃や腸での作業が楽になるわけです。
よく噛まずに食べると、口のなかでの消化が中途半端になってしまい、消化器官への負担が大きくなります。

それを避けるためにも「よく噛む」ことは大事です。

胃には炭水化物の消化酵素がありません。
胃酸の活躍で、胃のなかの炭水化物(デンプンや二糖類)は軟らかくほぐされ、糸が切れる一歩手前の状態になります。

ほとんどの炭水化物は、十二指腸までたどりつくと、膵臓から供給される消化酵素(アミラーゼほか)の働きで、麦芽糖に変わります。
そして小腸で、マルターゼ、フルクターゼなどの消化酵素によって、単糖のブドウ糖や果糖になります。
小腸の栄養吸収細胞は、ここではじめて栄養素のエネルギーを吸収できる状態になります。

同じように、タンパク質はプロテアーゼによって、アミノ酸という分子レベルにまで、脂肪はリパーゼという酵素によって、脂肪酸という分子レベルにまで細かく切られること、これが「正しい消化」です。
じつに長い時聞を経て栄養素にたどりつくのです。

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